本講演では、金星夜側電離圏と火星夜側電離圏の比較を行い、今後の観測に対する議論を行う。金星電離圏の研究は、米国のパイオニアビーナス探査機の観測によって飛躍的に発展した。夜側電離圏の電離源としては、太陽活動度が極大の時には昼間側からのO+イオンの輸送が、太陽活動度が極小の時には夜側への非熱的電子の降り込みが、それぞれ効いていると言われている。しかし、夜側電離圏におけるいくつかの現象についてはまだその発生メカニズムが明らかになっていない。一方、火星夜側電離圏の観測は少なく、その電離源は金星と比較することによりある程度推定が可能と思われている。